弊社が発行するトレーナーになりたい方向けのメルマガにこんな質問をいただきました。
『私は将来的にはフリーのパーソナルトレーナーで働きたいのですが、現在トレーナーの経験がないので、まずはフィットネスクラブやジムに就職して、3〜5年程知識や実践力を身につけてから、独立した方が良いのでしょうか??』
この質問を頂いたときに弊社代表の安藤がした質問は、
「将来的にはフリーのパーソナルトレーナーとして働きたいのは、なぜですか?」
という質問です。
この質問をさせていただいたのは、この部分が明確で無いと、仮に3〜5年程知識や実践力を身につけようと考え、フィットネスクラブやジムに就職したとしても、その後フリーランスになるのは、難しいと安藤は考えているからです。
このような質問をたくさん頂くのですが、安藤はこの質問をされること自体を疑問視しています。
それは、2つの勘違いが含まれているからです。
2つの勘違いとはこちらです。
- トレーナーの経験や知識が付けば、フリーランスになれる
- 安定した環境で知識を学ぶ
という部分です。
本日は、会社員トレーナーで経験を積んでフリーランスになろうと思っているトレーナーの大きな2つの勘違いについてお話させていただきます。
トレーナーの経験や知識が付けば、フリーランスになれる?
1つ目の勘違いは、『トレーナーの経験や知識が付けば、フリーランスになれる』という部分でした。
「トレーナーの経験や知識があること」と「独立できる力があること」は全く違います。
独立するには、ビジネススキルが必要になります。
このビジネススキルとは、コミュニケーションやマナーという部分だけでなく、経営をするということも含まれています。
コラムやメールマガジンでいつもお伝えしていることですが、トレーナーの技術とビジネススキルは自転車の車輪のように両輪で考える必要があります。
弊社では、後輪がトレーナーとしての技術、前輪がビジネススキルだと考えています。
質問をくださる多くの方は、後輪にしか目が向いておらず、前輪への意識が非常に薄いと感じました。
後輪がどんどん大きくなっても、前輪も大きくならないと自転車は走行が出来ません。
『経験を積むために就職するのだから、そんなに意識は薄くないのでは?』
と思われたかもしれませんが、安藤がこの質問をした時にそう感じたのには、もう1つの理由があります。
それが、
『3~5年程知識や実践力を身につけてから』
という部分です。
会社に務めたことがある方であれば分かって頂けると思うのですが、会社で勤め始めて、3年というと丁度仕事がわかってくる年月です。
経営者側から見ると、戦力としてやっと数えられるレベルです。
そして、5年というと、「重要な仕事を1人で任せても大丈夫かな?」と考えてもらえる位の年数です。
ですが、これで経営ができるわけではありません。
ある一部分を1人で任されるかどうかというレベルなのです。
これで、フリーランスになるのは非常に危険だと安藤は感じています。
実際にこの段階で独立をして、廃業に追い込まれているトレーナーさんをこの7年間で多数見てきています。
もちろん、フリーランスになるなら、卒業後すぐにでもなることが出来ますが、パーソナルトレーナーとして、成功し続けるのは難しいでしょう。
独立をすることを視野に入れているのであれば、独立に向けた勉強が必要になります。
ましてやトレーナーの経験が全くない状態から始めるわけですから、会社から求められていることをやっているだけなら、その年数では技術も最低ラインを少し超えたくらいのレベルにしか到達しないと思います。
安藤はよく言いますが、
「そんなにパーソナルトレーナーの仕事は甘くありません!」
パーソナルトレーナーは高度専門職です。
もし、3~5年で独立するのであれば、寝る間も惜しんで努力をしないといけないと思います。
ちなみに安藤は20代の時は、週6日ジムで働き、勉強をしていました。
その時間は1日最低でも12時間以上だったと言っています。
これが会社としていいかどうかというのは、わかりません。
ですが、その素地があるから、今があると安藤は考えています。
ちょっとキツい話になりましたが、これが現実です。
会社は安定した環境であなたに知識を学ばせる場ではありません!
2つ目の勘違いは、『安定した環境で知識を学ぶ』という部分です。
冒頭にご紹介した『質問の中に答え無いじゃないか!』というクレームは受け付けません。(笑)
これはあくまでも安藤が多くの若手トレーナーから同じような質問をもらった時に感じたことです。
多くの若手トレーナーは、トレーナーの経験や知識を積むために就職して、経験や知識がついたら、独立することを考えているのですが、生活をする金銭を安定してもらいたい為に就職をするという選択をしている傾向にあります。
これを聞いたときに安藤が言うことは、
でも、これっておかしくないですか?
という言葉です。
多くの人が学びにはお金がかかる事を知っています。
高校、大学、大学院など学びを深めようとすれば、それに対する費用がかかるのは当たり前です。
これまで学費という形で常にお金を払ってきたのではないでしょうか?
ですが、就職すると学びを無料で受けられると、勘違いをする人が多くいらっしゃいます。
なぜ、就職している間、研修など学びの機会を企業は提供するのでしょうか?
それは、
従業員の力を上げることが企業の成長につながるから
です。
つまり、企業を成長させるため、より強くするために社員や従業員に研修をするのです。
決して、あなたの独立支援をするためではありません。
企業は学校では無いのです。
ここに「企業・経営者」と「会社員・従業員」の意識の差が生まれるのです。
『それでも独立するために会社を利用して、経験と知識をつけるんだ!』という野心を持っても、問題はありません。
安藤自身も入社当初はそうだったと言っていましたから。(笑)
そう思っても、問題無いのですが、もし、知識や技術を身に付ける勉強のために安定したお給料をもらいたいなら、賃金の安さや労働環境に文句を言うべきではないのです。
なぜなら、経験と知識をつけるためにあなたはその会社に就職しているのですから。
禅問答のようですが、いいとこ取りは出来ないのです。
もちろん、常識の範囲内を逸脱して、1日12時間以上働かされる。。。なんてのは、ダメですが。(笑)
何が言いたいかと言うと多くの若手トレーナーやトレーナーになりたい方が経験と知識を安定した給料をもらいながら、手に入れようとしているのに、給料や労働環境に文句を言うのです。
もっと給料が欲しい。
労働時間を短くしたい。
と。
安定した環境で知識や経験を得ながら、高い給与や素晴らしい労働環境は手に入りません。
そんなに世の中甘くは無いのです。
関連記事:社員や業務委託のパーソナルトレーナーに知っておいて欲しいお金(給与)の話
フリーランスになったら、会社員の時よりもっと時間が無くなります。
フリーランスになりたいのに、こんな事をお伝えするのは心苦しいのですが、
フリーランスになったら、会社員の時よりもっと時間が無くなります。
もし、労働時間を減らしたいなら、フリーランスのパーソナルトレーナーになるべきではないと弊社では考えています。
多くの人が思っているほど、フリーランスはバラ色の人生ではありません。
お話したように独立当初は、会社員の時よりもっと時間が無くなりますし、ゴールをどこに設定するかにもよりますが、かなりの努力量が必要になります。
パーソナルトレーナーで言えば、会社員の時は、セッションをするだけでよいことが多いです。
フリーランスになったら、
集客から、顧客管理、売上の管理、クライアントのフォローアップやアフターフォロー
などなど、全ての事を自分でやらなければなりません。
そして、それらを全てやっても、結果が上手く出なかった時には、全て自分の責任です。
この事実を受け入れる謙虚さとメンタリティーが必要になります。
これは一人暮らしを初めて始めるときに似ています。
実家にいる時は、一人暮らしになれば、時間が出来て、好きなことが出来ると考えています。
というか、安藤は考えていたそうです。(笑)
いざ、一人暮らしをしてみると、炊事洗濯、部屋の掃除をはじめ、様々な事を自分がやらなければなりません。
これらを全てやっていると意外と自由な時間ってないものです。
自分がやらなければ、部屋はどんどん汚くなっていきます。
そして、母親のありがたみを実感するのです。
これがフリーランスになった後、起こります。
様々な事を自分でするようになってはじめて、会社の偉大さやありがたみがわかるのです。
母親であれば、『あの時はヒドイことを言ってごめん』と話して、仲直りをすることが出来ると思います。
ですが、会社であまり良い辞め方をしないと後々の活動に響いてきます。
なぜなら、フィットネス、トレーナー業界は、非常に狭い業界だからです。
いつどこで、前の職場の方にお会いするか分かりません。
あまり良い辞め方をしていないとその方があなたの事をなんというかは、自分が反対の立場になれば、分かりますよね?
勉強させてもらうとか育ててもらうと考えて、会社に就職するなら、恩をあだで返すようなことはせず、良好な関係で独立が出来るようにするべきだと弊社では考えています。
自分の成長だけを考えず、会社や企業にも恩返しをして、次のステップに進むにはどうしたら良いかを真剣に考えるとフィットネス・トレーナー業界はもっともっと発展していくと考えています。
そのためにも、このメルマガでビジネススキル、そして企業や会社の考え方をぜひ学んで下さい!