先日のこちらの記事に大きな反響を頂きました。
マイクロジム事業を成功させるオーナートレーナーの特徴と必要な要素とは?
Facebookでも反響が大きかったのですが、直接お会いしたトレーナーさんから
『これ、うちの代表の話ではないですよね?』
と驚きながら、質問をされました。
そのジムのオーナートレーナーとは、面識はありません。
いかにこのコラムが多くのオーナートレーナーに当てはまっているかがわかりました。
コラムを読んで頂いて、
『うんうん。やっぱりウチのオーナートレーナーは改善が必要だ!!』
と思ったあなた、ちょっと待って下さい。
前回のコラムはオーナートレーナーについて書きましたが、社員や業務委託で働かれているトレーナーさんに問題が無いわけでありません。
前回のコラムでお話したようなことが起こってしまうのは、実は、社員や業務委託で働かれているトレーナーさんにも原因があるのです。
その1つが、お金(給与)についての考え方です。
本日は、社員や業務委託で働かれているトレーナーさんに知っておいていただきたいお金(給与)についてお話します!
会社はあなたに経験を積ませるところではありません!
まず初めに、社員のパーソナルトレーナーのケースをお話したいと思います。
これは、弊社にも非常に多く寄せられる内容の一部です。
『私は将来的にはフリーのパーソナルトレーナーで働きたいのですが、現在トレーナーの経験がないので、まずはフィットネスクラブやジムに就職して、3~5年程知識や実践力を身につけてから独立した方が良いのでしょうか?』
というような質問をよくいただきます。
この方は、3〜5年と言われていますが、ヒドイ方になると『1年くらいでやめて独立しようと思います!』という内容を頂くこともあります。
このように多くの若手トレーナーは、トレーナーの経験や知識を積むために就職して、経験や知識がついたら、独立することを考えています。
でも、いきなりフリーランスになるのは不安なので、
- 生活をする金銭を安定してもらうこと
- 知識・技術を取得すること
- 経験を積むこと
を目的に就職をするという選択をしている傾向にあります。
これっておかしくないですか?
多くの人が学びにはお金がかかる事を知っています。
ですが、就職すると学びを無料で受けられると勘違いをする人が多くいらっしゃいます。
なぜ、就職している間、研修など学びの機会を企業は提供するのでしょうか?
それは、
従業員の力を上げることが企業の成長につながるから
です。
つまり、企業を成長させるため、より強い組織を作るために従業員に研修をするのです。
決して、あなたの独立支援をするためではありません。
企業は学校では無いのです。
『それなら、企業が研修をするのは当たり前じゃん!』って思ったあなた。
その考えが通じるのは、終身雇用であなたがそのジムで働く場合です。
数年で辞めようと思っている場合は、教育という形であなたに投資をした金額を回収することがほぼ不可能なので、会社側もある程度のレベルに到達したら、教育に力を入れることはやめてしまうかもしれません。
それは、こうした意識の社員パーソナルトレーナーが多いからです。
本当は全部もらいたいと思っていますよ!
次に業務委託契約のパーソナルトレーナーの場合を見ていきましょう。
先日、業務委託で働くパーソナルトレーナーのこんな言葉を聞きました。
『業務委託で働くパーソナルトレーナーの多くは、いかに自分の取り分を多くするか?どうやってちょろまかすかを考えていますよ。笑』
このパーソナルトレーナーは30歳を超えています。
年齢のことをどうこう言うつもりはありませんが、一般的な30代の出来るビジネスマンでこんなことを考えている人はいません!
この話を聞いたとき、
「未熟なパーソナルトレーナー業界だから成り立っているんだろうな。。。」
と感じたのは、言うまでもありません。
余談ですが、今後のパーソナルトレーナーの働き方は、現在の美容師さんに近づいていくと弊社では考えています。
現在の美容師さんの働き方は、信号よりも多い既存の美容室を間借りして、サービスを提供して、場所代や材料費を支払うというスタイルです。
集客はInstagramなどのSNSで行い、固定費の掛からないスタイルが増えてきています。
これは最近パーソナルトレーナー業界で増えてきているシェアジムに近い形です。
ここで、問題になったのは、セキュリティーです。
場所貸しをしている美容室では、初めのうちは
売上が合わない
虚偽の申告をして、支払いを安くする
ということが多発したそうです。
そこで、オーナーさんは、いわゆる『ちょろまかし』が起きないように、金銭のやり取りを個人間ではさせない。
防犯カメラを付けるなどの対策をしているそうです。
これは、まさに先ほどのパーソナルトレーナーが言っていたことが、現実に起こっている例といえるのではないでしょうか?
なぜ、こんなことが起こると思いますか?
これまで、社員や業務委託で働かれているトレーナーさんの意識的な部分も含めた改善点についてお話しました。
ではなぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
それは、
パーソナルトレーニングビジネスの売上が単純だから
これに尽きます。
パーソナルトレーナーの売上は、単価 × セッション回数です。
つまり、アルバイトと同様に時間数で自分の売上がほぼ決まってしまいます。
(もちろん、他のサービスや物販などを絡めているトレーナーもいますが、あまり多くないのが現状です。)
自分がいくら売り上げているかがすぐに計算できるため、『自分の売上はこれだけあるのに、どうしてもらえるお金はこんなに少ないんだ!』となってしまうのです。
パーソナルトレーニングを提供したことだけで売上を考えてはいけない。。。
先ほどもご説明したように、自分の売上がすぐに計算できてしまうビジネスモデルなので、自分の売上とお給料を比較して、不満を持つトレーナーさんも少なくありません。
でも、この考えはほとんどが間違いです!
なぜなら、会社やオーナートレーナーは、あなたが本来やらなければならないことを代わりにやってくれているからです。
その代表が
集客
です。
集客の重要性は誰もが分かっていますが、この活動にかなりのコストがかかっていることを多くのトレーナーは認識していません。
認識はしていても、先ほどもご説明したことからも分かるように、そうしたコストが自分の給料に反映されているとは思っていないのです。
会社やオーナートレーナーは集客のための広告宣伝費の他にも
- 施設の維持費(家賃・器具のメンテナンス費)
- 水道光熱費
- 給与計算、支払い
- 会社であれば社会保険料の支払い
などなど、様々なことをやってくれています。
ここにかかるコストは、社員や業務委託トレーナーにはもちろん請求されていません。
では、このコストは会社やオーナートレーナーだけが払えば良いものなのでしょうか?
あなたが、ジムをオープンさせ、集客を自分でして、クライアントはもちろん、従業員の管理をするとします。
この費用は無料ですか?
自分でジムを運営していくことを考えれば、無料でないことはお分かりいただけますよね?
それなのに、多くの社員や業務委託トレーナーはこのコストに目が向いていません。
だから、『こんなに売り上げてるのに、給料が少ない!』って言えてしまうんです。
手取りで30万円もらうためにはいくら売り上げないといけないのか?
ここで、あなたに質問です。
あなたが、手取りで30万円もらうためには、一体いくらの売り上げが必要でしょうか?
答えは、
100万円
です。
パーソナルトレーナーという属人的な仕事は、分類するとサービス業になります。
一般的に属人的サービス業の人件費割合は、50%が原資限度と言われていわれています。
つまり、最低でも2倍の売上はほしいということです。
会社員の場合は、社会保険料も考慮すると、手取りで30万円を支給する場合には、額面はおおよそ35万円ほどになります。
つまり、70万円が最低の売上となります。
でも、これだと会社やオーナーはほとんど得することはありません。
ちなみにマッキンゼーでは、給料の3倍稼がないとクビになるといわれているので、105万円は売り上げないと行けないということになります。
パーソナルトレーニングも極めて粗利率の高いビジネスなので、マッキンゼーに近い水準で良いと弊社では考えています。
そのため、100万円と計算しています。
実際に計算してみる
実際に70万円を会社で売り上げたと考えます。
施設利用料:21万円(フィットネスクラブでの業務委託の施設利用料より算出)
額面給与:35万円
社会保険料:5万円(5万円を額面給与から天引、会社負担は5万円)
残りは、9万円です。
これにあなたの交通費や研修などの教育費などを入れたら、会社やオーナーはほとんど利益がありません。
リスクを背負ってジムを出し、いつ辞めるか分からないトレーナーを育成し、全員分の集客を行う。
あなたがこの立場なら、やりますか?
こう考えると、会社員として働いている場合、売上に対して給与が安くなってしまうのは、仕方が無いことなのです。
パーソナルトレーナービジネスに関わる全ての人の意識を変える必要がある。
いかがだったでしょうか?
前回のコラムでは、オーナートレーナーの改善点をお話しましたが、社員や業務委託トレーナーにも改善点があります。
先ほどご紹介したような意識のままオーナートレーナーになれば、前回のコラムのようなことが起こることは必然です。
弊社も含め、フィットネス、パーソナルトレーナー業界は、まだまだ未熟な会社、個人事業主が多いのが現状です。
美容師業界と同じように技術職という部分はあるのですが、なんとかこの流れを変えていきたいと考えています。
なぜなら、美容師業界とは、一点違うところがあるからです。
髪は絶対に伸びますが、身体は絶対鍛えないといけないことはない
ということです。
髪を切るのは、絶対になくなりませんし、これからも必要なものです。
弊社では、身体を鍛えるのもそれと同様に考えていますが、世の中の認識はそうではありません。
パーソナルトレーニングは、まだまだ贅沢品なのです。
この現実を変えていくためには、パーソナルトレーナービジネスに関わる全ての人の意識を変える必要があります。
その1つが、今回ご紹介した給与に関わる問題です。
それぞれが今回のケースでいえば、コスト意識を持つことで色々なモノが変わってきます。
実際に社員トレーナーのみなさんにこのような研修をさせて頂き、意識がガラッと変わったジムがあります。
研修後は、『社員たちが主体的に動き、自分たちの行動へのコスト意識が非常に高まった』とお声を頂いております。
弊社では、トレーニング指導の研修以外に、ビジネス面の研修もご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。